2026年1月15日、秋葉原の電子パーツ店に電子工作の世界を変える新製品が登場しました。秋月電子通商、千石電商、マルツエレック秋葉原店舗が、USB Power Delivery 3.1 EPR(Extended Power Range)規格に完全対応した280W出力のGaN(窒化ガリウム)充電モジュールの販売を開始したのです。これまでハイパワー充電器は完成品しか存在せず、DIY愛好家や小規模メーカーが独自の充電ソリューションを開発することは困難でした。今回の発売により、個人でも次世代の高出力充電器を自作できる時代が到来します。
GaN技術がもたらす劇的な小型化と高効率化
本製品の最大の特徴は、GaN FET(窒化ガリウム電界効果トランジスタ)を採用していることです。GaNとは、従来のシリコン半導体に代わる次世代素材で、高い電圧耐性と低い抵抗値を両立できる特性があります。この技術により、本モジュールは電力変換効率97.2%という驚異的な数値を実現しました。
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サイズは62mm × 45mm × 18mmと非常にコンパクトで、従来のシリコンMOSFET版と比較して40%もの小型化に成功しています。従来の240W級充電器では複数のシリコンMOSFETを並列接続する必要がありましたが、GaN技術により単一チップで280W出力を実現。さらに発熱量は従来比63%削減され、冷却ファンも不要になりました。これは静音性と省スペース化の両面で大きなメリットです。
充実した技術仕様と保護機能
本モジュールは最大出力280W(48V/5.8A EPR mode対応)を誇り、5V/9V/12V/15V/20V/28V/36V/48Vの8段階PPS(Programmable Power Supply)に対応しています。これにより、スマートフォンから大型ゲーミングノートPCまで、幅広いデバイスに最適な電圧で充電が可能です。
採用されている半導体は、Navitas製GaNFast NV6136(650V耐圧、15mΩ オン抵抗)、制御ICにはInfineon製EZ-PD PMG1-S3(ARM Cortex-M0+ 48MHz)、USB PDコントローラーにはCypress製CYPD8236-97BVXIが使用されています。回路構成はLLC諧振コンバータと同期整流を組み合わせたトポロジーで、スイッチング周波数は150kHz(可変)です。
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安全性も徹底的に考慮されており、過電流、過電圧、過熱、短絡保護が統合されています。また、INA226高精度電流センサーが統合されており、±0.1%精度で電力モニタリングが可能です。USB-IF認証(TID: 7823)も取得済みで、Thunderbolt 4充電仕様とも互換性があります。
オープンソースで広がるカスタマイズの可能性
本製品のもう一つの革新的な点は、オープンソースの制御ファームウェアが提供されることです。GitHubで公開予定のファームウェアにより、ユーザーは充電プロファイルを自由にカスタマイズできます。C言語とModusToolbox IDEに対応し、I2C経由でレジスタアクセスも可能。さらにRaspberry Pi Picoでの制御にも対応しているため、IoT機器との連携や、独自の充電管理システムの構築も実現できます。
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市場への影響と今後の展望
ゲーミングノートPCやモバイルワークステーションの高性能化に伴い、消費電力は200Wを超える時代になりました。2026年春には次世代MacBook ProやASUS ROG、Razer製ゲーミングノートが280W充電に対応予定とされており、この規格への対応は今後必須となるでしょう。
本製品は既に量産体制が整っており、月産3,000個の供給が可能です。価格は秋月電子で8,980円、千石電商で9,200円と、DIY市場として手の届きやすい価格設定になっています。秋葉原ラジオデパート2階、秋月電子本店、千石電商1号店では実機デモ展示が行われており、2026年1月26日には秋葉原UDXで開発者向けワークショップも開催予定です。
秋葉原を起点に、メイカームーブメントがさらに加速し、カスタム充電ソリューションの開発が活性化することが期待されます。個人開発者やスタートアップ企業が独自の充電製品を開発できる環境が整ったことで、充電技術の民主化が進むでしょう。


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