ドローン業界の最大手DJIが、CES 2026で画期的な技術を発表しました。飛行しながら3Dプリントを行う「FabriAir」システムは、建設・インフラメンテナンス業界に革命をもたらす可能性を秘めています。MIT Media LabとETH Zurichとの共同開発により実現したこの技術は、老朽化するインフラの補修や高所作業の安全性向上という、現代社会が抱える重要課題への解決策として注目されています。
空中で「造る」という革新
FabriAirの最大の特徴は、複数のドローンが協調して空中で実際に構造物を造形・修復できる点にあります。従来の建設用ドローンは検査や撮影が主な用途でしたが、FabriAirは実際に材料を付加し、構造物を形成することが可能です。
各ドローンにはデュアルアーム機構が搭載されており、一方のアームで材料を押し出し、もう一方で造形物を支持・整形します。使用する材料はUV硬化型の複合材料で、紫外線LEDアレイにより0.3秒以内に瞬時に硬化。この仕組みにより、重力の影響を受ける空中でも精密な造形が実現できます。
{IMAGE_2}
高精度を支える先進技術
空中での3Dプリントという困難な作業を可能にしているのが、複数の先進技術の統合です。LiDARとRGB-Dカメラによるリアルタイム3Dスキャンで既存構造物を解析し、欠損部分を自動識別。AIが構造解析を行い、強度要件を満たす最軽量設計を自動生成します。
特に注目すべきは「重力補正アルゴリズム」です。飛行中の姿勢変動を予測し、材料の押出量を動的に調整することで、誤差わずか±0.5mmという高精度を実現しています。また、最大12機のドローンが同時作業可能なスウォームインテリジェンス(群知能)により、大規模な補修作業も効率的に行えます。
実用化への道筋
DJIは2026年第3四半期から欧州の橋梁管理企業5社を対象にパイロットプログラムを開始予定です。橋梁や送電塔、風力タービンなど、従来は足場の設置が必要だった高所作業において、FabriAirはメンテナンスコストを最大70%削減できると期待されています。
{IMAGE_3}
価格は1システム(ドローン4機+制御ステーション)で28万ドル(約4,000万円)と高額ですが、足場設置コストや作業時間の大幅削減を考慮すれば、投資対効果は十分に見込めます。2027年には本格的な商用化が予定されており、インフラメンテナンス企業からの関心が高まっています。
未来への展望
FabriAirの応用可能性は地球上だけに留まりません。NASA JPLは月面基地建設への応用研究に関心を表明しており、宇宙空間での建設技術としての発展も期待されています。また、「空中から造形する」という新しいアプローチは、建築デザインのパラダイムシフトを引き起こす可能性があります。
{IMAGE_4}
日本においても、高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化が深刻化しており、FabriAirのような技術への需要は高まる一方です。建設業界の人手不足問題への解決策としても、この技術は大きな意味を持ちます。災害時の緊急補修にも即座に展開できるため、防災面でも新たな選択肢となるでしょう。
ドローン、3Dプリント、AIという3つの先端技術の融合により実現したFabriAirは、建設・メンテナンス産業の未来を大きく変える可能性を秘めた、まさに革新的なシステムと言えます。


コメント