秋葉原の電子部品商社チップワンストップが、半導体業界に衝撃を与える製品を発表しました。TSMCの最先端2nmプロセスを採用したRISC-V開発ボード「HackBox Nano」が、わずか49ドル(約7,200円)という破格の価格で2026年3月から世界同時発売されます。これまで最先端プロセスのチップは、スマートフォンやハイエンドサーバーなど限られた製品にのみ搭載されてきましたが、初めて一般のホビイストや学生が手にできる価格帯で提供されることになります。
最先端2nmプロセスが実現する驚異のスペック
HackBox Nanoの心臓部には、SiFive Performance P870コア4基(2.8GHz)とEfficiency E76コア4基(1.8GHz)を搭載したSoCが採用されています。プロセスノードは台湾TSMCの2nm FinFET(N2プロセス)で、従来の7nmプロセスを採用したRISC-Vボードと比較して性能は3.5倍、電力効率は60%も向上しています。
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注目すべきは、わずか65mm×30mmというRaspberry Pi Zero互換サイズの基板に、8GBのLPDDR5Xメモリ、15TOPSのAI推論エンジン、さらにはPowerVR Series 10XT GPU(2テラフロップス)まで搭載されている点です。消費電力はアイドル時わずか0.8W、最大負荷時でも12Wと非常に効率的で、モバイルバッテリーでの駆動も現実的です。インターフェースもUSB4×2、HDMI 2.1、40ピンGPIO、M.2スロットと充実しており、あらゆる用途に対応できる拡張性を備えています。
「端材チップ」活用という革新的ビジネスモデル
この驚異的な低価格を実現したのは、TSMCの2nm量産ラインにおける「端材チップ」を有効活用する新しいビジネスモデルです。半導体製造では、ウェハーの縁で生産されるやや小型のダイ(チップ)は従来、歩留まりの関係で廃棄されるか限定的な用途にしか使われませんでした。チップワンストップはこれらを集積して活用することで、最先端プロセスでありながら破格の価格を実現したのです。
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ソフトウェア面でも充実しており、Ubuntu、Debian、FedoraといったLinuxディストリビューションに加え、Android 15のRISC-V移植版も動作します。開発環境もGCC、LLVM、Rustといった主要なツールチェーンがRISC-Vをフルサポートしており、TensorFlow LiteやONNX RuntimeなどのAIフレームワークも最適化版が提供されます。さらに、すべてのハードウェア設計ファイルがGitHubで公開され、オープンソースハードウェア認証も取得済みです。
メイカームーブメントとRISC-V普及への影響
この製品が持つ意義は、単なる高性能・低価格ボードの登場にとどまりません。x86とARMに独占されてきたプロセッサ市場において、オープンな命令セットアーキテクチャであるRISC-Vが本格的に普及する契機となる可能性があります。すでにインド工科大学やアフリカ15カ国の技術大学が教育用途での採用を表明しており、途上国でのAI教育インフラとしての期待も高まっています。
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秋葉原では2026年3月5日から5店舗で先行販売(初回ロット5,000台)が開始され、4月には世界75カ国でオンライン販売が始まります。さらに6月には産業用グレード版(-40℃〜125℃動作対応)もリリース予定で、IoTデバイスや組み込みシステムへの展開も視野に入れられています。秋葉原限定の「HackBox DevKit」(12,800円)も同時発売され、JTAGデバッガやロジックアナライザも提供されるため、本格的な開発にも対応できます。
かつて世界中のハードウェアハッカーが注目した秋葉原が、再び革新の発信地として返り咲く象徴的な製品となるでしょう。最先端技術の民主化が、次世代のイノベーションを生み出す土壌を作り出すことが期待されます。


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